東坡は持ち前の自由奇抜な発想で、数々の料理を生み出した。

東坡肉(トンポーロー)をはじめ、鯉に白菜の芯をつめて焼いて食べる魚料理や、白菜・蔓菁(かぶら)・大根・薺(なずな)などの野菜と少量の生薑(しょうが)と生米を入れて煮込むスープの東坡羹(とうばこう)、羊の背骨をあぶってしゃぶる料理など、そのバリエーションは多彩である。なぜ彼はこのような料理を考案したのだろうか? それはおそらく左遷されて生活が困窮したため、必要に迫られたところが大きいだろう。また、養生法の一環として食事にも気を配っていたためということも考えられる。

しかし、何よりも東坡自身、「食」することが好きだったのであろう。